2013年12月18日水曜日

金融リテラシーについて


拙著『金融の世界史日本史』の「まえがき」をどうするか悩んでいた頃。(「まえがき」なのですが実は後で書いているのです)

編集者の方から日本人の金融リテラシーは低いので啓蒙の目的で書いたというような趣旨は当りさわりが無くてよいかもしれませんよといわました。確かにこの「リテラシーが低い」というのは金融に限らずいろいろな分野でも使えそうじゃありませんか。政治にしろ、法律にしろ、また最近は本が売れないそうですから文学リテラシーだって低いのではないでしょうか。「君は最近評判が悪いよ」といわれても困ってしまうことがあるように、このリテラシーが低いというのはどっちにしろ、当たっているようなので、あるいは自分の胸に手をあてて考えてみるとココロ当りがありそうで困ってしまいます。

さて、「日本人は金融リテラシーが低い」という話について書いたらと編集者からアドバイスを貰った時のことです。僕は彼にニーアル・ファーガソンの『マネー進化史』を読んだ?と聞き返しました。なぜならこのアメリカで働くイギリス人の歴史家が書いた本の冒頭にはこう書いてあるからです。

「この本の目的のひとつは、金融、とくに金融史になじみの薄い方のために、入門書の役割を果たすことだ。英語圏の圧倒的多数が、金融に関して無知であることはよく知られている。」

ここではアメリカのカード利用者の10人のうち4人までが月末払いを超過して延滞料を支払っているが、全体の29%の人がカードに延滞料の適用があることを知らないし、知っている人の3分の1は10%以下の金利だと思っていることが例示されています。

また、あるアンケートでは3分の2は「複利」を知らなかったし、半数は学校で金融については「あまり学ばなかった」、あるいは「まったく習わなかった」と答えているそうです。

高校生対象のアンケートでは18年間株式を保有していれば国債を保有するよりもリターンが高い可能性が極めて高いことを理解できた生徒は14%。累進課税がわかったのは23%。59%の生徒が年金と401kの違いがわからなかった。

ファーガソンはさらにイギリスはもっとひどいのだと説明しています。興味のある人は是非同書を読んで下さい。でも多分日本人の金融リテラシーが低いと考える時、僕らは英語圏の金融リテラシーが一番高いのだと勝手にイメージしていますよね。

金融の知識習得はどこの国でも難しい問題なのだと思います。

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