2014年11月21日金曜日

【ビジネスアイコラム】株価水準と経済規模の関係


【ビジネスアイコラム】株価水準と経済規模の関係 



 11月17日に2014年度第3四半期(7~9月期)の国内総生産(GDP)速報値がマイナス1.6%と発表されると、株式市場は大きく下落し日経平均は517円安となった。事前のアナリスト予想がプラス2%程度だったことからこのマイナス値は大きなサプライズで、さらに第2四半期(4~6月期)に続く2四半期連続のマイナスは、日本はリセッション(景気後退)にあることを意味したからである。アベノミクスの成果として様々な物語を通じて喧伝(けんでん)される好景気とは大きなギャップがあった。しかしながら消費税再増税延期が発表されると翌日の株価は切り返した。

 GDPと株価の関係は更新頻度が四半期と少ないことからトレーディングや中短期の投資では指標として使い物にならないといわれている。

 一方で世界銀行のHPでは世界各国の上場株式時価総額を名目GDP値で割った値を公表している。経済規模に比較して資本市場が発達しているのかどうかを比較するためだ。例えばこの比率が世界で一番高い香港では421%になる。米国が114%で以下2012年末のデータでイギリス122%、フランス69%、中国が44%、ロシア43%である。意外なのはドイツの44%であろうか。この値はそれぞれの経済構造に依存する。 



日本の東証1部時価総額を名目GDP値で割った値を戦後から直近のデータまでグラフ化したのが上の図である。

 著名投資家のウォーレン・バフェット氏が同様の指標を好むことはよく知られている。農林水産業の比率の高かった戦後から次第に2次、3次産業を中心とする上場企業の比率が大きくなっていったことが読みとれるだろう。そしてバブルでピークを打ったのである。

 18日の時価総額が504兆円、17日発表の名目GDPが483兆円であるから現在の比率は104%である。89年のバブルの年には時価総額591兆円、GDPは416兆円で142%あった。またリーマン・ショック直前の2006年には時価総額538兆円、GDP509兆円で106%ある。視覚的に理解できるようにここからの株式市場の上昇にはGDPそのものの成長が欠かせない。また株価だけの上昇は常に急落の危険もはらんでいることに注意しなければならないだろう。

 日銀によるETF等の購入、GPIFによる株式組み入れ比率の上昇など株価対策らしきものが目白押しで、考えようによっては株価の上昇を通じて景気の引き上げを目論んでいるようにも映るが、この水準での株式組み入れはいかに危険なものかは理解できるだろう。投資家は慎重な対応が求められる。


(作家 板谷敏彦)

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