2015年6月19日金曜日

GEの舶用エンジン


社会人になったら日経新聞を読めといわれて、僕なんかは、なんだかんだで数十年に渡って随分と読んできた。

日経を通じて政治、経済はいうに及ばず、他の業界のことを知ることができる。というわけだ。この方法が一番効率的であることは現在も変わらないと思う。だから新社会人が毎朝日経を読むことはおすすめだ。

ところが造船業界にいた頃は、なるほど他の業界はこうなっているのかとは思っていた。ところが事、自分の業界になると、関連する記事を読むと初歩的な間違いが多くて、新聞記者って何もわかっていないなと思うわけだ。造船だけじゃなくてどの業界であれこういう風に思っている人は多いのじゃないかと思う。

これは証券会社に入っても同じこと。投資別主体の中身や、デリバティヴスや仕組債の理解でもそうだし、ことカストディやプライムブローカレッジなんかになるとものすごく知識のギャップを感じたものだ。もちろん読書家の記者もいてよくわかっている人もいるのだが、大体において記者は忙しすぎて、耳学問が多くて読書不足、大きな流れをつかめない人も多い。


今朝の(6月19日朝刊)日経の企業面のニュース「GEが船舶用エンジン」という記事。「米ゼネラル・エレクトリックは航空機向け技術を転用した船舶用エンジンを開発した」というリード文で始まる。


なるほどGEは航空機技術を利用して舶用タービンの市場に参入したのかと読める。いままで舶用のエンジンは開発していなかったかのような書きぶりだ。だけどGEは昔から舶用タービンの老舗中の老舗だ。ジェットエンジンは舶用や発電機用タービンの技術がなければ産まれなかった。これはリード文がミスリードしている例だ。

GEのHP より

GEの舶用エンジンHP


このGEの発表の目玉は、今回のエンジンはスクリューを回す推進用のタービンではなく、船に積んだ発電用のLNGガスタービンで発電機を回して、その電気を使ってモーターで船を推進するとともに、タービンを回した際の余熱で蒸気を発生させ、その蒸気でさらに追加的な発電用の蒸気タービンを回すというエコなシステムにある。
この2つを組み合わせることで、現在経済的な理由から主流にある舶用ディーゼルにとって替わる可能性があるという点がニュースのポイントだ。他にもエンジンルームを小さくできることから積載可能量も増える点と、シェール開発に伴うLNGの生産増加がこのエンジン・システムの普及後押しするということだ。
最後の舶用エンジンシェアもミスリードだ。これは舶用ディーゼルに限ったシェアだし、しかもブランド別の生産量でしかない。舶用の場合はライセンシーが生産している場合が多いからだ。例えばここで1位のMAN-B&Wの場合、生産量の99%が川崎重工などの世界中に散らばったライセンシー達なのだ。

日本舶用工業化の資料―エンジン・シェア

記事に負けないように本を読んでおくしかない。
今週刊エコノミストで連載中の『日本人のための第1次世界大戦史』を読んでおくとこの辺りのことには詳しくなるよ。






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