2015年6月23日火曜日

『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください--井上達夫の法哲学入門』読後感想文


リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください--井上達夫の法哲学入門』、毎日新聞出版を読了。

これについてはさまざまなところで書評が出ているし、すでにベストセラ―になっているようだから、詳細は省くけれど、本書の「自ら筋道を立てて原理的に考察するための哲学的視座を提供することである」という目的は達せられていると思う。

例えば、集団的自衛権の是非が問われ、憲法学者の殆どが違憲だと主張したが、そもそも憲法9条を普通の日本語として読めば、これまでの、つまりは現状の憲法解釈でさえ違憲だということは子供でもわかる。というように原理的なことから物事を考えていこうとする思考の枠組みを与えてくれる本である。

最近読んだ三浦瑠璃の『日本に絶望している人のための政治入門』の視座に納得感があった。

さて、本としては工夫が見られて、冒頭はカントの「啓蒙」など、法哲学の基礎的な話題から入り、入口で読者の選別をわざと行っているように思う。難関を避け簡易につとめたとあり、その努力はよくわかるだけにこれは編集者が意図的に行ったのではないだろうか。読者は心配することなく読み進めば良い。案外読めるはず。

それと枝葉末節ばかりで恐縮だが、一番気になったのは、最後の最後の部分。



「私は、若いころ低血圧だったのに、グローバルな規模で不正がのさばっている現実に怒り、それに飲み込まれてゆく哲学の死に怒り、最近は高血圧化してしまって、降圧剤を飲み始めています。しかし、今の状況を見ていると、還暦すぎたからといって円くなっていられない。『怒りの法哲学者』として、角を立てて生きていきますよ。」

浅学ゆえの軽率の誹りを恐れずに指摘するならば、これはツッコミを待つボケにちがいない。でも残念ながら誰もツッコミを入れてくれそうもないので、毎朝軽い運動を習慣づけた方が良いだろう。

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