2015年7月22日水曜日

『日本人のための第1次世界大戦史』第6回 電信の発明


週刊エコノミスト連載の『日本人のための第1次世界大戦史』は今週で第6回です。今週のテーマは「電信の発明」。

フランスの腕木信号と日本の「旗振り通信」、電信以前の遠距離情報伝達方法には他にも狼煙やアフリカのトーキングドラムも有名です。狼煙は「来た―来ない」のような1ビットの情報ですが、ドラムは違います。これは文字を持たず口語だけの世界における遠距離通信方法で、したがって太鼓のたたき方がモールス信号のように文字に対応しているわけではありません。太鼓がまさに言語をしゃべるという役割で、つい最近でも奥さんから太鼓でヤム芋のお昼ご飯ができたから家に帰れとドラムでメッセージが届いていたそうで。その後すぐにドラムは通信の進化の過程をジャンプしていきなり携帯電話にかわってしまったのです。

電信が初めて戦場からロンドンまで繋がったのがクリミア戦争。実はザ・タイムズが従軍記者を初めて配置したのもクリミア戦争です。この記者ウィリアム・ラッセルは映画『遙かなる戦場』(1968年)にも登場してきます。また軽便鉄道が有効利用されたのもこの戦争ですが映画には出てきません。ちなみにクリミア戦争当時のクリミア半島の住民の80%はタタール人です。でもここはロシア人が血で購った土地でもあります。

電池の発明が1800年、発電機の発明はその半世紀後。リレーが出来て、モールス信号が発明されて電信は広く普及します。

モールスは当初アメリカで売れなかった電信の特許使用権をフランスの当局(腕木信号)に売りにいきますが、そこで問題にされたのが、「電線が切れた時にはどうしょうもないではないか」との言葉。欠点ばかり見て+思考ではなかったのですね。

電信を一番早く利用したのがロンドンとアメリカの金融市場。アメリカではエジソンのティカー・マシーンが広く使われました。この辺りは拙著『金融の世界史』にも書いてあります。

もうひとつ電信を鉄道とともに有効に活用した組織がありました。プロイセンの参謀本部です。次週からはビスマルクとモルトケの登場です。第1次世界大戦の理解にドイツ統一戦争は欠かせません。

参考図書は『インフォメーション』ジェームス・グリック、新潮社、2013年。『無線百話』若井登監修、クリエイト・クルーズ、1997年。などなど。



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