2016年1月19日火曜日

【高論卓説】年初からの株安ショック ゆっくり待つのも手


【高論卓説】年初からの株安ショック 中国変調どこまで、ゆっくり待つのも手

フジサンケイ・ビジネスアイ 2016年1月19日号 コラム

年初から、世界の株式市場が大きく下げている。昨年末の各種経済メディアは国際的な資源価格の低迷にもかかわらず、米国の堅調な雇用回復が消費を拡大するであろうとの見通しの下に、増益予想を根拠にして相場回復を予想するものが多かった。個人投資家もここ数年の高値憶(おぼ)えで、大きく下げるたびに今年最後の買い場とばかりに飛びつく向きも多かったようだから、ショックも大きいだろう。今回の下げでは米国のNYダウも昨年8月の水準にまで下落した。 

 これは世界の経済が、いまだに当時の中国の株式市場に端を発した下落フェーズの最中にあることを再確認させたものだと考える。つまり、労働人口の増加や工業化、都市化の進展によって長く続いた中国の高度成長期が、「新常態」と呼ばれる新しい時代に入り、世界の経済がその影響を吸収している段階だということである。

 これまでは高成長が大量の資源を消費することから商品価格を引き上げ、新興国の中でも資源産出国を中心に活況を呈してきたわけだが、今、そうした時代は変わり目にある。そのことを一番示しているバロメーターが石油価格である。

サウジが増産を続け、イランの国際原油市場への復帰も近づいている。イランの復帰を材料出尽くしと考えることもできようが、当たるも八卦(はっけ)である。在庫も積もりに積もり、今買う理由は「下げ過ぎ」以外に見つけにくいだろう。

 中国を含む新興国の資源に対する需要低迷で資源価格が下落し、この下落が今度は新興国の購買力を奪ってしまう負のスパイラルに入っている。


 グラフはNYダウとNY運輸株指数である。NYダウは国内消費関連を中心に昨年8月の中国株ショック時の水準を何とか値を保ち続けていたが、物流の体温計である運輸株指数の方は一貫して下落し、現在は同8月の水準を大きく下回ってしまっている。

 また国際金融市場では、米国の信用の低い会社の社債であるジャンク債の指標が注目されているが、米国債とのスプレッドも運輸株指数の下落と同じように広がり続けている(ジャンク債の利回りが上昇し続けている)。資源株を中心に資金繰りに問題が出始めているのが実情だろう。

 株式は安いところで買うのが一番だが、どこが安いところなのか判断は難しい。今は以前の高値から安い水準であることは間違いないが、世界経済の状況が大きく変わろうとしている時期である。せめて石油価格が底を打ち、ジャンク債市場の方向性に説得的な材料が出るまでは、ゆっくりと待つのも投資だと思う。

板谷敏彦