2016年7月25日月曜日

日米長期株式リターン


【高論卓説】株式長期リターン、日米で大差 市場は冷徹、構造改革の遅れ直結 フジサンケイ・ビジネスアイ

「72の法則」をご存知だろうか。単利の金利に年数をかけて72になれば、資産は約2倍になるというものである。たとえば100万円の元本で年利6%を12年間貯金すれば、利子収入は6%×12年で72万円のはずだが、利子もまた利子を得るので、100万円×(1+0.36)の12乗と複利計算によって利子収入は約100万円になり、結果資産は倍になるというものだ。必ずしもどのケースでも正確という訳ではないが、10%なら7年で倍、7%なら10年で倍という具合に、暗算する時には役にたつ。

 この複利計算というものは恐ろしいもので、わずかな成長率の差が、時間の経過とともにとてつもなく大きくなる。例えば隣国中国が年率実質7%で10年成長し、我が国の成長率が0%であるならば、GDPで図る中国の国力はその間に倍になる。20年あれば4倍になるのだ。

 当然のことだが、投資の世界でもこの複利の差の影響は大きい。表は日米の長期株式リターン(投資収益)を比較したものである。米国はウィルシャー社の5000銘柄から構成される包括的な株式指数を、本邦はデータを取得しやすい日興リサーチセンターの株式パフォーマンスインデックス総合2という指数を使っている。こうした聞きなれない指数を使用する理由は、配当を再投資した基準で計算されているからである。配当利回り2%の差は35年で倍の差になるので長期では無視できない。

表は横軸が投資開始時期で、縦軸が投資終了時期を示している。%の数字は年率のトータル・リターン(配当込収益率)である。例えば米国の横軸、1980年の列を縦に見ると、1990年までに12.6%の年率複利投資収益があったことがわかる。この間1980年末を100とした場合の指数は326と10年間で3倍以上になっている。2000年までの20年間は2000年がITブームだったこともあり年率15.2%、2010年までの30年間は年率10.6%、こうして2016年まで10%以上の投資収益を継続した結果、36年前の株式指数は実に37倍になったのである。

 では本邦はどうだろうか。1980年に市場全体のインデックス・ファンドを買った人がいたとして、36年間で4.2%の収益で約4倍。これはバブル相場も込みである。バブルほぼ頂点の1990年末で指数を買った人は26年かけて年率0.3%の収益。このほんどが2012年以降の収益である。

これまで日米の差は大きかったが、これからも同じ傾向が続くと決まったわけではない。しかし人口減に加えて、アベノミクスの第3の矢未達、東芝問題に代表されるコーポレート・ガバナンスの質、国際機関から指摘される労働市場の構造問題、女性の社会進出など、立ち遅れた部分に修正が入らないのであれば、それはこれまでと同じだということだ。金融市場の価格付けは言い訳なしで冷徹なのである。

2016年7月11日月曜日

訃報:永六輔さん83歳


第1次世界大戦史を書くにあたって、たくさんの映画を見たが、その中に『第七天国』という開戦時のパリを舞台にした恋愛映画がある。アメリカの無声映画であり、これは第1回アカデミー賞を受賞した映画だ。

第七天国とはパリのアパルトメントの7階のことで、若い2人はそこで愛を育む。エレベーターが普及するまで、アパートの高層階は家賃が安かった。今の高層マンションとは逆だったのだ。この部屋は隣のアパルトメントへ、簡単な板を渡しただけの橋がかけられていて、便利に友人の部屋に行き来ができるのだけれども、若い彼女は最初は怖くて渡れない。その時に彼は「上を向いてあるけば大丈夫だよ」というのだね。

さて、この映画の日本版DVDには淀川長治さんの映画解説がおまけについていて、彼はパリが舞台のこの映画をすっかりイタリア映画だと勘違いして解説しているのだけれども、その録画をそのままおまけにつけているのも珍しいが、この解説の中に試写会を見に来た坊主頭の子供の頃の永六輔さんの逸話が出てくる。映画が終わった後で、子供の永さんは、淀川氏に向かってこう言ったのだそうだ。

「おじさん、上を向いてあるけば大丈夫だよね。」

淀川氏はこの映画のおかげで坂本九の世界的大ヒット「上を向いて歩こう」の歌詞ができたのだと主張している。

本当かな? 真偽がわからぬまま、永さんは御逝去された。ご冥福を祈ります。


訃報:永六輔さん83歳=放送作家、ラジオタレント